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2007年7月

2007年7月22日 (日)

高いところからどこまで見えるか。

 東京タワーの展望台からは、どれくらい遠くまで見えるだろうか。富士山頂からならどこまで見えるか。飛行機に乗ったときには、どれくらい遠くまで見えているのか。10km先なのか、50km先なのか、それとも100km以上先まで見えるのだろうか。
 ある高さのところから、見える範囲に限界が存在するのは、地球が丸いからである。もし、地球がまっ平らだったら、犬吠崎に行って、大きな望遠鏡でのぞけば、ハワイもアメリカ西海岸も見えるはずだ。しかし、どんなに晴れていても、犬吠崎からアメリカが見えないのは、地球が丸いからである。
 どのくらい遠くまで見えるかは、視点の高さと地球の半径によって決まる。非常に簡単な幾何学で、地球の半径と、三平方の定理さえわかれば、計算できる。計算のやり方は、手書きで書いたものを画像にして載せたのでご参照ください。

 結論を言えば、視点の高さを(m)、その視点から地平線までの距離を(km)とした場合、その関係は

   =3.57√

となる。高さ1mのところからは3.57km先まで見えるということである。
 いちいち計算するのが面倒という人のために、いろいろな高さでどのくらい遠くまで見えるかを代わりに計算した。その一覧表を以下に掲載する。

   高さ        見える距離
   1m        3.57km
   1.69m      4.64km
   2m        5.05km
   4m        7.14km
   9m        10.71km
   16m       14.28km
   25m       17.85km
   36m       21.42km
   49m       24.99km
   64m       28.56km
   81m       32.13km
   100m      35.7km
   144m      42.84km
   196m      49.98km   
   400m      71.4km
   900m      107.1km
   1000m     112.9km
   1600m     142.8km
   2500m     178.5km
   3600m     214.2km
   6400m     285.6km
   8100m     321.3km
   10000m    357km
   19600m    499.8km
   40000m    714km
   90000m    1070km
   160000m   1428km
   250000m   1785km

 一覧表を見てわかるように、ちょっと高いところに上っても、ある程度以上の高さではあまり劇的に遠くまで見えるようにはならない。これは、見える距離が、高さの平方根に比例するからである。
 この一覧表を見ていると、いろいろ興味深いことがわかる。たとえば…
 ●妙高高原スキー場から、日本海は見えるか。
 新潟県の妙高高原スキー場の最高地点は標高1800m超である。それ以外でも、少しリフトやゴンドラに乗れば1500mくらいのところまではいける。上記表によれば、標高1000mで113km先まで、標高1600mで143km先まで見える。妙高高原スキー場から日本海までの距離は、30kmくらい。ということは、ほかの山が邪魔しなければ、かなり余裕で日本海を見下ろすことができる。
 ●飛行機を使えば、2回、日没が見られる。
 日の入りは、太陽が地平線の向こうに沈むことを意味する。一覧表を見ると、身長が169cmだとすれば、4.64km先の地平線に日が沈むことになる。飛行機に乗ると、高度10000m付近を巡航する。高度10000m(10km)から日の入りを見た場合には、同様に考えれば357km先に日が沈むことになる。ここまではいいだろうか?
 地球は一日に一回回転しているので、太陽が当たっている範囲も、一日間でぐるっと地球を一回転する。その、太陽が当たっている範囲の西側の縁(日没を見ることになる人たちがいるところ)はどのくらいの速さで移動してるのか。東京がある北緯35度あたりでは緯線の長さ(真東に向かって地球を一周して戻ってくる道のりの長さ)は32800kmくらいである。だから、ざっくりと考えると、太陽の当たる範囲が東京あたりを通過する速度は、32800÷24=時速1370kmくらいだ。ということは、地上で日没を確認し、すぐ一気に飛行機で上昇して、10分くらいで高度10000mに達すれば、その日の日没を2回見ることができることになる。
 しかし、飛行機に乗ると、350km以上先まで見通せるというのはすごい。東京上空から名古屋あたりまでは300km圏内だから、見えてしまうことになる。
●さらにこの論を展開させて、月の地平線についても考えてみよう。式の形からわかるように、地平線までの距離は、惑星の半径の平方根に比例する。月の場合、半径は地球のほぼ4分の1、1797.4kmである。地球でやったのと同じように計算すると、地上1mから月の地平線までの距離は、1.896kmということになる。身長が169cmならば、月の地平線までの距離は2.465km。地球のほぼ半分くらいの距離だ。月の地平線から地球が昇るところをアポロの乗組員が撮影した有名な写真があるが、あの写真にある月の地平線は、ほぼ2.5kmの距離にあったことになる(http://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/lunar/images/a11earthrise.jpg)。

 最後に、東京タワーの展望台と、富士山頂から見える距離を算出しておしまい。
 
  東京タワー大展望台     150m  →地平線までの距離は43.7km
  東京タワー第二展望台   250m   → 56.4km
  富士山頂           3776m  → 219km

  *計算のしかた

8554082

2007年7月12日 (木)

国立競技場にトイレは何個必要だったか。

 今年は開かれるのかどうか知らないが、何年か続けて、夏にSmapが国立競技場でコンサートを行った。もちろん、コンサートに来るのはほとんどが女性だった。
 さて、そのコンサートには1公演あたり6万人が動員された。公演時間は4時間に及んだという。

 人間はほぼ、1日に1.5~2リットルの尿を排出する。これは、体内で作られた尿が、1分間あたり約1.3ミリリットルずつ膀胱にたまっていくということを意味する。人間の大人が膀胱にためておける尿の量はだいたい最大で500ミリリットルくらい。ということは、最大で6時間くらいはトイレに行かなくても大丈夫ということになる。このように考えると、4時間に及ぶ公演がはじまってから、観客のうちの3分の2以上の人は、トイレに行ったと考えてよいだろう。
 実際にそのコンサートに行ったわけではないが、おそらく、途中に30分程度の休憩があっただろう。コンサート開始後に、トイレに行った観客(たぶん4万人以上)のうち、半分がこの休憩中に行き、後の半分はコンサート終了後に行ったと考えよう。まあ、無理のない仮定といえる。
 つまり、2万人が30分休憩の間にトイレに行ったと考えられるわけだ。女性が、1人1回あたりトイレにかかる時間を1分30秒と考えよう。コンサートに来ていたのはすべて女性だとする。ひとつのトイレで30分間にさばける人数は、30÷1.5=20で、20人。とすると、女性用トイレは合計で、何個必要か。

  20000÷20=1000(個)

 ちょっとした数だ。女性用トイレが極端に狭く、1m四方の面積しかなかったとしても、トイレだけで1000平方メートル(一辺が32mの正方形の面積に相当)が必要。国立競技場の建物面積は33716平方メートル(出典: http://www.naash.go.jp/kokuritu/rikujyou_sisetu.html)だから、1000平方メートルといったら、それなりの割合を占めることになる。実際には通路も必要だし、長い列を成しつつ女性たちが待つスペースも作らなければならない。いずれにしろ、相当な数の仮設トイレが設置されたと考えられる。何個くらいなのだろう。

 では、国立競技場に備え付けの女子トイレは、何個くらいなのか。たぶん、スポーツ施設として利用される場合に必要な数だけしか、設置されていないはずである。国立競技場は、通常5万人収容である(Smapコンサートの際は、アリーナ席も設置して6万人収容とした)。スポーツイベントの際、観客の女性の割合は、半分を超えることはまずないだろう。
サッカーの試合が行われる場合を考えよう。試合はだいたい2時間くらいで終わる。とすると、その間にトイレに行くのは観客の半分くらいだろうか。
 つまり、サッカーの試合が始まってから、トイレに行く女性は収容人数5万人のうちの4分の1、12500人くらい。ハーフタイム中にトイレに行く人は、さらにその半分で、残りは試合終了後に行くと考えよう。となると、結局、15分間のハーフタイムに、トイレに行く女性は6250人。上記と同じ理屈で考えると、15分の間にひとつのトイレがさばける人数は、10人。とすれば、女性用トイレは625個あればいい計算になる。……しかし、ネットなどの書き込みによれば、国立競技場は慢性的なトイレ不足らしく、その点に関しては評判が悪いようだ。おそらく、実際には女性用トイレはもっと少なく、500個以下ではなかろうか。

 smapのコンサートの際には数百個単位での仮設トイレの設置が必要だったと思われる。普段、男性用としているトイレを女性用に転用しても、ぜんぜん足りないはずだ。ほかに場所はないので、アリーナ席の後ろ、トラック上に設置されたのだろう。300個くらいだろうか。
 コンサートに行った人のブログなどを見ると、コンサートでメンバーのソロの曲が始まると、その人のファンではない客は、ここぞとばかりに、トイレに走ったそうである。トイレはやっぱり、足りなかったのだろう。

 こんなことを考えていくと、仮設トイレのレンタルという商売は、かなり儲かるんじゃないかという気がしてくる。

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