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2008年6月

2008年6月25日 (水)

電車の数字2 電車の乗客数を素早く見積もる方法

 月曜日の朝、最悪の気分で、めちゃくちゃにこんだ電車に乗って会社に向かう。そんなとき、こう考えることはないだろうか。  「いま、この瞬間、自分と運命を共にしてこの電車に乗っている人の数は何人くらいなのだろうか」、と。  自分だけが不幸なのではない。それはわかっている。問題は、どれくらいの数の人々が、運命を分かち合っているのか、である。  東京周辺の地下鉄やJRで走っている電車は多くの場合、4つドアの車両で10両編成だ。各車両に7人掛けベンチシートが6つと、3人掛けのベンチシートが4つ付いている。この手の電車の乗客の数を素早く見積もる方法を考えた。  結論から言うと…

1 どれでもいいからすぐそばにある7人掛けシートにかけている人の数と、その前で立っている人の数を数える。立っている人のうち、数えるのは車両の右半分、あるいは左半分にいる人だけでよい。

2 すぐそばのドア付近に立っている人の数を数える。このときもまた、数えるのは車両の右半分、あるいは左半分にいる人だけでよい。

3 上記2つの工程で数えた人数を足し、その数を8倍する。それで、その車両にいる乗客の数が算出される。10両編成の電車なら、それをさらに10倍した数が、おおよその乗客数ということになる。

 計算の仕組みは簡単だ。4つドアの車両は、左右合わせてドアが8枚ある。すぐそばのドア前スペースを見て、右半分にいる人数を8倍すれば、その車両のドア前スペースに立っている人の数のだいたい数が把握できる。また、7人掛けのベンチシートは6つある。そのほかに3人掛けシートが4つあるが、3人掛けシート2つで7人掛けシート1つ分と考えても大きな誤差にはならないだろう。つまり、1つの車両には7人掛け8つぶんのシートがあると考えてよい。シートの前に立っている人間の数も同様に考えられる。

 もちろん、この見積もりには、かなりの誤差が生じうる。実測値が平均値から1人ずれただけで、車両の乗客見積もりは8人ずれる。列車全体の見積もりではずれが10倍に膨らみ、80人ずれることになる。2人ずれたとすれば、160人のずれになる。  また、どの車両にも均等に乗客がいないと、この見積もりは不正確になる。ある程度こんだ列車なら、乗客はなるべく空いた車両に乗ろうとするので、あまり偏りが起きないことが期待される。しかし、乗車率が50%を切って、どのシートにも座れる余裕ができているような場合は、車両ごとにかなりの偏りが生じていると考えられるだろう。

 しかし、そのような限界を理解したうえで、一度この方法で乗客の数を数えてみてほしい。この方法を使えば、あなたが乗っている車両の乗客数が一瞬のうちに見積もれることに、まず驚くだろう。さらには、その数が自分が考えるよりずっと多いことに驚くだろう。7人掛けのシートにすこしルーズに6人ずつ座っていて、そこここに人が立っているような車両の場合でも、ざっと70~80人がその車両に乗っていると計算される。それが10両編成で走る電車なら、その10倍、つまり700~800人が運命をあなたと共にしていることがわかる。乗車率が高く込み合っていれば、2000人くらいが1本の列車に乗っていることもある。

 そう考えるとなんだか不思議な感じがしないだろうか。乗客が1000人以上の列車が、日本じゅうで何百本と、毎日走っている。そういう状態が、もう何十年と続いている。そして、自分もそういう列車に毎日乗っている。そういう列車を、毎日運転している運転士がいる。冷静に考えると、これって現代世界の驚異じゃないだろうか。

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