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2013年7月

2013年7月21日 (日)

時速3000kmで歩くたかしくんはどんだけでかいのか?

 2chのまとめサイトばっかり見ているのですけれど、先日、以下のようなものがありました。

暇人\(^o^)/速報 : たかしくんは時速3000kmで歩いています - ライブドアブログ 暇人\(^o^)/速報 : たかしくんは時速3000kmで歩いています - ライブドアブログ

今回は、このたかしくんの足の長さはどれくらいなのか、を考えてみることにします。
カギは、「歩いていた」というところで、つまり同時に両足が浮くことはないという条件を満たして、時速3000kmを達成しなければなりません。
そこで歩行の単純なモデルを考えます。以下の図をご覧ください(クリックすると拡大)。
Photo この図で状態Aは両足がそろっている瞬間、状態Bは出した片足が着地した瞬間です。この間に、重心は前に距離Dだけ移動し、同時に高さHだけ下方に移動します。

秒速vメートルで移動してるなら、この間にかかる時間は(D/v)秒ですね。重要なのはここからです。状態Aでは重心の鉛直方向の速度はゼロ。状態Bに移行するにあたり、重心はHだけ下がる必要がありますが、このHの移動を自由落下にかかる時間よりも短く済ませることはできません。そのばあいには両足が浮いてしまうことになり、「歩く」ではなく「走る」ことになってしまうからです。つまり

1


という条件を満たさなければなりません。重力加速度をgとすると、高さHを落ちるのにかかる時間t1は、

2

となります。
一方、歩く速度をvとすると、水平方向距離Dを進むのにかかる時間t2は

4_2
足の長さをL、股の角度をαとすると、HとDは以下のように表されます。
3
これでt2<t1となる不等式をくみ上げると、

5

両辺とも正であることは明らかなので、

6_2

これを足の長さLについて整理すると、

7

となります。
さて、この式から何がわかるでしょうか。
まず、速度を上げようとすると、足の長さは速度の2乗で長くしなければならないことがわかります。速度を2倍にしたかったら、足の長さは4倍にする必要があるのです。
また、同じ足の長さでスピードを上げようと思ったら、なるべく小股で(αを小さくして)素早く足を運んで歩く必要がある、ということです。たしかに、競歩の選手は大股で歩かず、小股で歩いています。それにはこのような物理的な合理性があると言うことですね。大股で歩くと両足が浮いてしまうのです。

今、知りたいのは、たかしくんの足の最低必要な長さ、下限です。非常に小股で歩くとして、αは近似的にゼロであると考えると、数式はすごく簡単になります。

8_2

ここで、vは時速3000km、つまり秒速は833.3m、重力加速度gは9.8m/s^2で計算すると、たかしくんの足の長さは、最低でも、70.86km必要であることがわかります。

競歩の選手は身長1.7mほどで1分間に250m、つまり秒速で4.2mで歩くそうです。秒速833.3mとは200倍の開きがあるので、単純に身長も200倍すれば、340m、足の長さはその半分くらいだから170mということになりそうですが、それではぜんぜん足りないということです。
先に述べたように、足の長さは、歩く速さの2乗で長くする必要があるので、200倍速く歩くためには40000倍の足の長さにする必要があります。競歩選手の身長1.7mに40000をかけると68km、足の長さを半分とすると34kmとなりますね。
さっきの推定の半分ほどになってしまいますが、これは計算の前提としたモデルが単純すぎるからでしょう。競歩選手は実際には腰を左右に振ることで歩幅を稼いでおり、上記モデルに反映されていないこの効果がけっこう大きいということなのだと思います。

 

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